耳が詰まった感じがする、
聞こえづらいという方へ
我々の耳は、外耳で音を集めて中耳の鼓膜や耳小骨で振動させ、内耳の蝸牛で電気信号に変換して脳に伝達します。このようなメカニズムによって我々は音を認識することができます。
そのため、外耳・中耳・内耳の間に何らかの異常が生じると、耳が詰まった感覚や聞こえづらさ、言葉の聞き取りづらさ、聴力の低下といった症状を引き起こすようになります。なお、聴力低下の原因が外耳・中耳の異常である場合を伝音難聴と呼び、内耳や脳神経の異常である場合を感音難聴と呼びます。
耳が詰まった感じがする、
聞こえづらい時の症状
- 片耳または両耳が詰まる感じがする
- 耳がこもるような違和感がある
- 耳の中に水が入った感じがする
- 耳の中が「ゴロゴロ」「ポコポコ」「バリバリ」する
- 耳が塞がったような感じがする
- 自分の声が響く
- 呼びかけに気づかないことがある
- 聞き返しや聞き間違いが多い
- 聞こえたふりをして話を続けてしまうことがある
- 話す声が大きいと言われるようになった
- TVやスマホの音量を以前より大きく上げている
- 大きな音がする環境にいる時間が長い
など
伝音難聴
(外耳・中耳の異常)の
原因・治療
耳垢(みみあか)
耳垢が外耳道に詰まったり耳垢の一部が鼓膜に接触すると、音が聞こえにくくなったり耳の詰まり感などの症状を引き起こします。改善するには詰まった耳垢を除去する必要がありますが、自分で無理に行ってしまうとかえって耳垢を奥に押し込んでしまう恐れがあります。そのため、耳鼻咽喉科を受診して取り除いてもらうようにしましょう。
中耳炎、外耳炎
細菌・ウイルス感染や過剰な耳掻きなどによって中耳炎や外耳炎を発症すると、耳の詰まり感や難聴などの症状を引き起こします。中耳炎の治療では、痛み止めや抗生物質などの薬物療法を実施します。これらの処置でも改善しない場合や発熱、化膿、激しい腫れ・痛みなどの症状を起こしている場合には、鼓膜の切開手術による膿の排出処置が検討されます。なお、損傷した鼓膜は1週間ほどで自然治癒します。
一方、外耳炎の治療では耳だれや耳垢をきれいに拭き取り、患部を消毒して様子を見ます。症状が治まらない場合には抗生物質や鎮痛剤などの薬物療法を実施します。
耳硬化症、耳小骨奇形
耳硬化症とは、耳小骨が硬化し、新たな骨が形成されるなどの異常が起きる病気です。また、耳小骨奇形とは生まれつき耳小骨の形状に異常がある状態の病気です。
耳小骨は外から入ってきた音を内耳に伝える役割があるため、これらの病気によって耳小骨に異常が生じると音が適切に伝達されなくなり、難聴などの症状を引き起こします。
耳硬化症や耳小骨奇形を改善させるには、手術治療が必要になります。
感音難聴
(内耳・脳神経の異常)の
原因・治療
感音性難聴には、遺伝的要因によって生まれつき引き起こされる先天性難聴と、生活習慣や病気等が原因で引き起こされる後天的難聴の2種類に分類されます。
先天的な難聴
先天性難聴の原因の約7割は遺伝子異常で、胎児の段階で風疹やサイトメガロウイルスなどに母子感染することで発症します。先天性難聴になると、聴力の発達に障害が生じる恐れがあります。遺伝子異常以外の原因としては、ウイルス感染や外傷、薬の影響などが挙げられます。
先天性難聴の治療は症状の程度によって異なります。初等〜中等の場合には補聴器を使用することが一般的です。一方、重症の場合には、内耳に電極を埋め込んで聴力を回復させる人工内耳手術が検討されます。ただし、人工内耳手術は年齢が進むにつれて効果が弱まるため、できるだけ早期に治療を行うことが重要です。なお、人工内耳手術が必要と判断した場合には、当院と連携する高度医療機関をご紹介いたします。
後天的な難聴
後天性難聴を引き起こす原因は、細菌・ウイルス感染や疲労・ストレスの蓄積、睡眠不足、薬の影響など様々なパターンがあります。また、血流の異常や悪性腫瘍などの病気によって引き起こされることもあります。
後天性難聴の治療は、原因によって異なります。風邪などの感染症が原因の場合には、抗生物質の投与を行います。中耳炎が原因の場合には、抗生物質や手術治療などが検討されます。外傷や薬の影響が原因の場合には、手術やリハビリ、薬の中断・変更などを実施します。
突発性難聴
突発性難聴とは、突然片側の耳が原因不明の難聴になる病気です。ウイルス感染や血流障害などが原因と考えられますが、はっきりとした原因は明らかになっていません。主な症状としては、耳の詰まり感や耳鳴り、吐き気、めまいなどが挙げられます。
突発性難聴は早期に治療を行うほど改善効果は高くなります。一般的に発症から1週間以内であれば治療により改善できる可能性は高いですが、2週間以上経過すると治療が難しくなるため、注意が必要です。治療では、ステロイド、ビタミンB12、ATP製剤などを使用します。
メニエール病、低音障害型感音難聴
メニエール病、低音障害型感音難聴とは、低い音を聞き取ることが難しくなる病気です。その他の症状としては、耳鳴りや耳の詰まり感、めまいなどが挙げられます。内耳のリンパ液が過剰に溜まることが原因と考えられ、治療では利尿剤を使用してリンパ液の量を低下させます。その他では、ステロイドや抗めまい剤などを使用することもあります。
聴神経腫瘍
聴神経腫瘍とは、内耳から脳へ音の情報やバランス感覚を伝達する前庭神経に良性腫瘍ができる病気です。主な症状は片方の耳の難聴や耳鳴り、めまい、ふらつき、顔面麻痺などが挙げられます。良性腫瘍のために症状が軽度の場合は経過観察に留めますが、腫瘍のサイズが大きくなったり激しい症状が現れている場合には腫瘍の摘出手術が検討されます。
外リンパ瘻
外リンパ瘻とは、内耳と中耳の間の膜が損傷することで内耳のリンパ液が中耳に漏れ出す病気です。主な原因は外傷や飛行機などの急激な圧力の変化、中耳炎などで、突然何かが弾けたような音がすると同時に難聴や耳鳴り、めまい、ふらつき、耳の詰まり感などの症状を引き起こす特徴があります。
外リンパ瘻は早急に治療を行う必要があります。治療では損傷した膜を修復する手術を行います。
老人性難聴
老人性難聴とは、加齢によって両方の耳が聞こえにくくなる病気です。一般的に55歳以上から症状が見られるようになり、65歳以上で急増し、75歳以上になると7割の方が発症すると報告されています。特に高音部の音を聞き取ることが困難になり、会話の際に相手の言葉が聞き取りにくくなります。
老人性難聴は生理現象の一つであるため、根本的な治療法はありません。そのため、患者さん本人やご家族の方の生活に支障をきたすようであれば、補聴器を使用して対応します。難聴は認知症を誘発するとも考えられているため、症状が激しい場合にはできるだけ早い段階で補聴器を使用することをおすすめしております。
騒音性難聴
騒音性難聴とは、工事現場などの仕事で常に大きな音に晒されることによって徐々に聴力が低下していく病気です。慢性化すると根本的な治療が難しくなるため、日頃から耳栓を使用するなどして予防することが大切です。
耳が詰まった感じがする、
聞こえづらいに関する
よくある質問 Q&A
耳の詰まり感が続いていますが、放置しても問題ないですか?
耳の詰まり感の原因には何らかの病気が関与している可能性があるため、数日経っても症状が改善しない場合にはできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。自己判断で放置すると重症化して治療が難しくなるケースもあり、注意が必要です。
耳が聞こえにくくなっているのですが、放置しても問題ないですか?
耳が聞こえにくくなる原因には様々なパターンが考えられますが、中には何らかの病気が関与している可能性があります。そのため、自己判断で放置せずにできるだけ早めに耳鼻咽喉科を受診して詳しく検査するようにしましょう。
耳が聞こえにくくなる原因としてストレスの可能性はありますか?
過度なストレスの蓄積によって聴力に悪影響を与えるケースはございます。具体的には、内耳の血行不良や自律神経の乱れ、突発性難聴、メニエール病などが挙げられます。聴力の低下とともに耳鳴りやめまい、吐き気、発熱などの別の症状を併発している場合には、何らかの病気が関与している疑いがあるため、耳鼻咽喉科を受診して詳しく検査を行うことが大切です。
病気などによって聴力が低下した場合、治療すれば聴力は回復しますか?
一般的に加齢や騒音性難聴などによって低下した聴力が回復するケースはほとんどありません。しかし、聴力低下の原因が中耳炎や突発性難聴といった病気である場合には、早期発見・早期治療によってある程度は回復することがあります。
耳が聞こえにくいのですが、自己判断で処置しても問題ないですか?
耳が聞こえにくくなる原因には様々なパターンがあるため、まずは耳鼻咽喉科にて詳しく検査を行う必要があります。中には何らかの病気が関与していることもある上、自己判断で治療を行うとかえって症状の悪化を招く恐れもあります。
そのため、聴力に違和感を覚えたら速やかに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。
聴力の低下と認知症には関係がありますか?
聴力が低下すると、認知症の発症リスクを高めることが報告されています。そのため、加齢などによって聴力が低下してきた場合にはできるだけ早い段階で耳鼻咽喉科を受診し、補聴器を使用するなどして対処することが大切です。
聴力が低下しないように気をつけることは何ですか?
ヘッドホンやイヤホンを使用する際には、できるだけ音量を下げる、ノイズキャンセリング機能を使用するなどを心がけましょう。また、静かな環境で適度に耳を休ませることも大切です。その他、耳を乾燥させて清潔感を保つことも耳の病気の予防に繋がります。
ただし、耳が聞こえにくくなったり耳が詰まっている感がある場合には、自己判断せずにすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。

