慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは
一般的には蓄膿症(ちくのうしょう)と呼ばれている慢性副鼻腔炎は、鼻の内部にある副鼻腔という空洞に炎症が起こる病気であり、日本では、年間に約1500万人が副鼻腔炎を患っていると言われています。
副鼻腔炎は、大人も子どもも発症する病気であり、慢性と急性の2種類の症状があります。副鼻腔炎を治療せずに放置すると、中耳炎を引き起こしたり、鼻の中に鼻茸というポリープができたりすることもあり様々な弊害をもたらす可能性があります。長引く鼻詰まりや、鼻水に色がついている場合は、一度耳鼻咽喉科で診察を受けることをおすすめします。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
の原因について
副鼻腔というのは、目の上にある前頭洞(ぜんとうどう)、目と鼻の間にある篩骨洞(しこつどう)、鼻の奥にある蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)、頬の奥にある上顎洞(じょうがくどう)からなり、これは全て繋がっています。この副鼻腔に炎症が起こり、副鼻腔内に膿が溜まって副鼻腔炎が発症します。
急性副鼻腔炎は、風邪を引いた際に菌に感染し、副鼻腔で炎症が起こって発症します。慢性副鼻腔炎の発症原因は、急性副鼻腔炎を何度も引き起こすことだけではありません。扁桃腺炎、大気汚染、虫歯、歯周炎の菌などが原因になっている可能性があります。
副鼻腔炎になりやすい人の特徴
副鼻腔炎になりやすい人の特徴には下記の特徴があります。
アレルギー性鼻炎の方
アレルギー性鼻炎の方は副鼻腔が慢性的に腫れているため、風邪ウイルスが排出されずに副鼻腔炎を引き起こしやすくなります。そのため、定期的に鼻うがいをする、アレルゲンを遠ざけるなどを心がけることが副鼻腔炎の予防に効果的です。
生まれつき鼻の中が曲がっている
左右の鼻を仕切っている鼻中隔が曲がっていると、鼻の中の空気の通りが悪くなって副鼻腔炎にかかりやすくなります。軽傷の場合は経過観察しますが、重症の場合には手術治療が検討されることもあります。当院では日帰り手術を行っておりますが、お仕事は約10日間お休みして連日通院する必要があります。
タバコを吸う習慣や副流煙を吸う機会が多い
タバコに含まれる化学物質は鼻粘膜に悪影響を与えるため、副鼻腔炎にかかりやすくなります。また、タバコの煙はアレルギー性鼻炎を悪化させることもあるため注意が必要です。
血縁者に副鼻腔炎の既往歴がある
副鼻腔炎の発症には遺伝的要因が関与していると言われており、親に既往歴がある場合には子どもの発症率も高まります。特に両親ともに副鼻腔炎の場合は、子どもの発症率は80%以上という報告もあります。
小さな子どもと一緒に生活している
小さな子どもは頻繁に風邪を引くため、親も多く感染して副鼻腔炎を起こしやすくなります。また、子育てによるストレスや寝不足などが原因で免疫力が低下することも副鼻腔炎を誘発する要因となります。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
の症状について

副鼻腔炎では、鼻詰まり、黄色い粘り気のある鼻水、嗅覚障害、いびき、頭痛などの症状が現れます。また、鼻水が鼻の穴ではなくノドの側に垂れてしまう『後鼻漏:こうびろう』を起こし、咳や痰が出てきます。慢性副鼻腔炎では、鼻の粘膜が膨らんで鼻茸というポリープができ、鼻呼吸しにくくなることもあります。
鼻茸、鼻ポリープとは
鼻茸鼻茸は、慢性副鼻腔炎と併発する症状の1つです。鼻にできるポリープであり、鼻の中の粘膜に白く膨れあがった塊ができますが、悪化すると鼻の穴から見えるほど大きくなる場合もあります。鼻茸ができると鼻の気道を塞いでしまいますので、鼻詰まり、嗅覚障害、頭痛の原因となるほか、鼻から呼吸しにくくなって口呼吸となるため様々な悪影響の可能性がでてきます。鼻茸は薬で小さくすることはできますが完治することは難しいため、手術が必要となります。当院では日帰り手術で鼻茸の切除治療を行っています。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
の治療について
保存的療法
| 治療方法 | 治療内容 |
|---|---|
| 薬物療法 | 溜まっている膿を溶かして鼻水を出しやすくする薬を処方します。鼻粘膜の炎症がひどいケースでは、炎症を抑える薬も使います。治療期間は約3ヶ月~6ヶ月間が目安です。 |
| ネブライザー | 薬剤を霧状にして、鼻や口から吸収し、膿の溜まっている箇所や炎症を起こしている箇所に直接薬を当てることで治療し、鼻詰まり、粘膜の炎症を改善します。 |
外科的治療(日帰り手術)
内視鏡下副鼻腔手術
内視鏡下副鼻腔手術は、薬物療法で十分な効果が出ない場合や、鼻茸ができてしまっている場合に行われる手術です。副鼻腔の排泄孔を広げ、膿などの分泌液が副鼻腔に溜まらないようにします。先端にカメラがついている内視鏡という機器を使い、鼻の細部をしっかり確認しながら炎症を起こしている患部や鼻茸を切除します。手術中や術後の痛み少なくするためにも、できるだけ傷が少ない低侵襲の手術を心がけています。
手術費用について
3割負担の方
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の手術は健康保険が適用されます。
| 手術名 | 費用 |
|---|---|
| 内視鏡下副鼻腔手術(片側) | 約40,000~70,000円 |
| 内視鏡下副鼻腔手術(両側) | 約80,000~140,000円 |
※患者様の症状により手術費用は多少異なります。
副鼻腔炎に関する
よくある質問 Q&A
副鼻腔炎の症状の特徴は何ですか?
鼻が詰まったり、粘りがあって色のついた鼻汁が多く出ます。また、匂いがわかりにくくなることもあり、鼻汁が鼻ではなくノドの方に回って、咳や痰の原因になることもあります。鼻詰まりのために集中力がなくなり、勉強や仕事が手につかなくなることもよくありますし、睡眠障害が起こることもあります。さらに、鼻はノドや耳と繋がっているため、耳やノドにも影響を与えます。急性中耳炎、滲出性中耳炎〈しんしゅつせいちゅうじえん〉、ノドの炎症や気管支炎を起こす可能性があります。他に、いびき、味覚障害、頭痛、顔面痛などの症状が出ることもあります。
副鼻腔炎で熱は出ますか?
副鼻腔炎になると副鼻腔内の細菌やウイルスを排除するための免疫反応の一つとして発熱を起こすことがあります。
治療にはどのようなものがありますか?
耳鼻咽喉科では、副鼻腔入口部の処置として鼻汁の吸引や薬の噴霧、抗生物質などの薬を副鼻腔に送りこむネブライザー療法などの治療を行います。他に薬の処方も行われます。少量のマクロライド系抗生物質を長期に続ける治療ではいい結果を得られているという報告があります。こうした治療でも十分な効果が見られない場合には、手術という選択肢があります。
鼻茸(はなたけ)とはなんですか?
慢性副鼻腔炎で、鼻の粘膜が水ぶくれのように膨らんだ状態になったり、鼻ポリープができたりすることがあります。それを鼻茸と呼びます。
副鼻腔炎の手術はどのようなときに必要ですか?
手術が必要とされるのは、薬の治療で効果が見られない場合や、鼻茸が見られる場合です。内視鏡下副鼻腔手術では、細い内視鏡を鼻腔に挿入して鼻茸の切除や患部を処置します。他に、経上顎洞的副鼻腔手術という上の唇と歯茎の間を切り開いて中にある粘膜を取り除く手術もありますが、内視鏡手術は痛みや腫れが大幅に抑えられますし、回復も早いため近年ではほとんどが内視鏡手術となっています。手術所要時間は30分~2時間程度であり、ほとんどの場合、日帰りで受けることができます。鼻茸は一度できてしまうと手術で切除しても必ず再発します。
副鼻腔炎と蓄膿症の違いは何ですか?
蓄膿症は、鼻の中にある副鼻腔と呼ばれる空洞に炎症が起きた状態で、副鼻腔炎というのが正式な名称ですから、この2つは同じものです。蓄膿症という名前は、副鼻腔に膿が溜まることからついたものです。副鼻腔炎には急性と慢性があり、急性の場合は風邪などで副鼻腔が菌に感染することで起こります。慢性は急性副鼻腔炎の繰り返しが原因である場合と、空気中のゴミや塵、扁桃腺の炎症などが原因となる場合があります。
アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎の違いは何ですか?
アレルギー性鼻炎は花粉やホコリなどに対する免疫の過剰反応によって起こるものであり、副鼻腔炎は細菌感染が原因ですので全く違うものです。ただし、アレルギー性鼻炎では鼻の中が細菌感染しやすい状態になるため、副鼻腔炎になることがあります。近年、アレルギー性鼻炎の原因のアレルギー性副鼻腔炎が増加しています。
副鼻腔炎は薬局で売っている薬で治りますか?
軽い症状であれば、鼻をきちんとかみながら市販薬で症状を抑えていって副鼻腔炎が治る可能性はあります。ただし、市販薬に含まれている血管収縮剤の影響で鼻詰まりが悪化する可能性があり、慢性化してしまうと治りにくくなるため、専門医による診療できちんと治すことをおすすめします。

